そのくちづけ、その運命
美術部は、予想通り部員のほとんどが女子だった。

俺は同性だろうが異性だろうが、あまり気にしないタイプだったし、自分の好きなことをやるために部活動をしているんだという意識も強かったから、あまり気にならなかった。

はじめは女子から白い目で見られていた気がするけど、ある時期から部活内の女子数人に告白された。


なんでこんな絵を描くことしか考えてないようなやつに告白してくれるのか。
それは、当時の俺にとっても、3年たった今も依然として謎のままだ。

ただ、「峰倉くんって絵描くの上手だよね~」と話しかけられ、嬉しくて「ありがとう。まだまだだけど」と答えると、なぜか「好きなの。付き合ってほしい」みたいなことを恥ずかしそうに俯きながら言われた。

返事をするも何も、どういう話の流れでそうなったのかわからなかったし、俺はその子たちのことを何も知らなかったから(下手したら名前も)、断る以外に選択肢はなかった。


……*……*……
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