そのくちづけ、その運命
彼とむかえる朝
次の日の朝、私は真人くんのベッドで目が覚めた。

すぐ近くに彼の寝息。

私の脇腹のあたりに真人くんの手のひらの感触があるのがわかる。


…恥ずかしい。
ちゃんとダイエットしておけばよかった…
後悔してももう遅い。

手をどかそうと、そっと真人くんの手に触れる。

「…もう起きたの?」

「起きてたの!?」

「今、起きた。実琴むずむずしてるんだもん」

「ごめん…」

「どこ行こうとしてたの~?大学の時間まだでしょ?」


先ほど脇腹からどかそうとしていた手が今度は、へそのあたりまで到達する。


う…さらに動きづらくなった…

「もう少しオレといてよ…」

耳元で彼の声。
寝起きだから少しかすれている。


「真人くん寝ぼけてる!?」

「んーん、これが本来のオレだよー。残念でしたー」

ふふふっと彼が首の後ろで笑っているのがわかる。

「だって、3年も待ったんだよ?昨日もめっちゃ我慢した方だし。あれでも」


「…私のどこがそんなに好きなの」

昨日は彼の過去をたくさん知ることができた。

にわかには信じられないけど、私のことを3年間も想い続けてくれたって。

本当に?
とも思ったけど、彼の目はいつだって本気で静かに私を見据えていたし、

私も、あのキャンバスに絵が描かれた絵を見て、高校2年だった自分を救ってくれたのが
真人くんが描いたものだと知って、驚きを隠しきれなかった。
それでいて、私の心は常に弾んでいた。

―――真人くんでよかったと、思ってしまっている自分がいた。


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