そのくちづけ、その運命
神様、無条件に人を愛するってこういうことなのでしょうか。


誰か一人の男を愛するということ。
その人を「愛おしい」と思う気持ち。

人間の根源的な感情であるはずなのに、過去の私はそれを蔑んでいた。ばかばかしいとさえ思っていた。

だから、――――こんな私にそう思える日が来るなんて、思いもしなかった。
人間関係は利害でしか成り立っていないと思っている時期が本当にあった。

隣に美人な彼女、イケメンな彼氏を置いて、まるで自分のアクセサリーを自慢するように、振る舞う人たちを見てうんざりしていた。彼らは、相手のことを本当に好いてなんかいない。そういうハイスペックな人と付き合っている自分が大好きなだけなんだって、
そう思っていた。

…でも。

それだけじゃないのかもしれない。

私は今の自分が以前よりも好きになった。
真人が好きでいてくれる自分自身のことが。

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