そのくちづけ、その運命
無意識に見つめてしまっていたらしい。
真人と、ふいに目が合った。
ふっと優しい笑みがこぼれる。大好きな顔だ。
「ん?どうしたの」
その問いかけに、「なんでもない」と返事をする。
「……幸せだと思っただけ」
「ふふふーうれしいなぁ」
彼はそう言って、本当にうれしそうに横からハグをしてきた。
うぅ、むずかゆい。
…だけどかわいい。
「実琴、大好き。ずっと一緒にいようね」
「うん」
私はぎゅっと彼を抱きしめ返した。
私の心臓は
トクン、トクン、トクン、トクン、と規則的なリズムを刻んでいる。
少しだけ、いつもより速い。
そりゃそうだよね。大好きな人と、抱きしめ合っているんだから。
それから、いわば仕返しのように、私は真人の胸元にぐっと耳を押しあてた。
トクン、トクン、トクン…
真人の心臓の鼓動も同じくらい速くて驚く。
「真人ー、真人も心臓の音速いね」
「んー??ばれたかー」
そう言ってまた笑う。