そのくちづけ、その運命
「あ、そうだ。
店長が今日から入る新メニュー見とけって」

「あー、わかりました。
……なんか最近多くないですか?」

このファミリーレストランは頻繁に期間限定メニューが出る。
といっても最近はどういうわけか、隔週で新メニューが出ているので期間限定とかいう売り文句が的はずれな気もする。
先週も確か、「エビとアボカドのドリア」とかなんとかが入っていたような。
一回厨房の人に味見させてもらったけど、ぷりっぷりのエビとクリーミーなアボカドが相性抜群で、それにクリームチーズがからみ合ってたまらなくおいしかった。


「だね。店長が気合入っててさ、いろいろ自信作ができたから試してみたいんだって」

「へぇ」

「まぁ、井上さんならすぐ覚えられるよ」

「え!?なんですかそれ!」

くすくす笑いながら厨房に入っていく。

「おはようございまーす!」

私もそれに続く。


今日もバイト、がんばろう。

そうやって気合いを入れながら、口角を上げる。

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