夏風
「ていうか、私の話はどうでもいいの!う〜ん、じゃあさ!昔の話とか聞かせてよ!旭のそんな話聞きたい〜〜ねぇ〜〜好きな人はいたでしょ???どんな人がタイプなの????」
「う、うーん……タイプ…???」
「そ!タイプ!私はね〜とりあえず私より身長が高い人が良いな!そんでもって優しくて〜イケメンで〜面白くて〜そこそこのお給料で〜〜…」
「百合、理想高すぎ」
理想高すぎと言ったが、百合ならそういう相手が見つかりそうだなと思う。
「旭はさ、優しい人とか好きそうだよね〜〜!」
好きな男性のタイプ。
正直あまり考えた事が無かった。
芸能人はイケメンで素敵だなとも思うしあんな人が現れたらなとも思う。
でも実際にタイプは?と聞かれるとわからない。
それなりに好きな人はいた事があるが、どの人もタイプはバラバラだった。
「タイプっていうかね…多分ね、好きになった人がタイプになるって感じかな…?」
「えーなにそれー!旭、超カッコ良いんですけど〜〜!!」
「も〜馬鹿にしてるでしょ」
2人の笑い声が空へと響く。
あぁ。そういえば昔もこうやって好きな人と笑い合ったな。昔は何でも楽しくてワクワクしてこんなに早く大人になるとは思ってもなくて。
今の学生に教えてあげたい。
学生時代は今しか無いんだぞと。今やらないといけない事、今しか出来ない事。伝えたい事だってもう大人になってしまったら出来ない事だってある。今のうちに伝えとくんだぞ。後悔はするなよって。
「漫画みたいな、男女グループで超仲良くてそのグループ内で恋愛してさ、そんな事さ憧れてたんだけど実際無いよね〜。」
百合が唐突に言う。
「あ、すごい分かる。本当憧れてたけど無いよね。あんなの夢のまた夢だね」
学生にもう一つ。
漫画みたいな事は実際に無いよ。男女グループ仲良しなんて早々いないし。仲良くても恋愛なんかに発展しない。後、みんなの憧れの屋上なんて入れない。
それでも学生生活は楽しかったから学生は最強だなと思う。
まぁ、こんな事思っても意味なんか無いか。