夏風
昼休み。お互いの学生時代、恋愛の価値観などの話で盛り上がる。
自分とは全く考えが違ったりして、こういう話は楽しい。
そうこうしてるうちに、昼休み終了の時間は迫ってくる。
「あ〜〜もう、昼休み終わっちゃうな〜〜」
「本当だ。早いね」
〜〜♪〜〜♪♪〜〜〜〜
ふいに爽やかなギターの音色が聞こえる。
「同じビルにさ、音楽の会社あるよね〜!めっちゃ綺麗だよね、落ち着く〜〜」
百合が呟く。
私達の通ってるビルは音楽の会社が入っている。昼休みに屋上にきて時々、色んな楽器を鳴らしているのをよく聞くのだ。
「私さどの楽器の音色も綺麗なんだけどね、このギターの音が一番好きだな。なんか懐かしい感じかするんだよね」
いつ聴いてもおちつくな この音。
この音色を聴くと何故だが頑張れる。
2人でその音色に耳を傾ける。
あ!と何か思いついたように百合が言う。
「ねぇ、今日暇??飲みに行こうよー!さっきの話の続きでもしよーよ!」
「行きたいー!行こ!直ぐ仕事終わらせる!今日は絶対残業は無しだよ!」
今日の夜の予定は決まった。
楽しみだな。
こんな平凡な私でもやっぱり恋愛の話はウキウキして楽しいし。
「よーし!午後も頑張るぞーーー!」
「お、旭やる気満々じゃん。私もがんばるぞー!!」
2人で気合を入れて立ち上がる。
「あぁ…でもやっぱり暑い……」
百合がぐでっとした体勢になる。
やはり今日は暑い。太陽がこちらに向かっているようだ。
そういえば、あの日もこんなジリジリと焼けるような暑い日だったな。
私は、触れてしまうと壊れてしまうような不思議なあの夏の出来事を思い出した。