夏祭り
「はぁ、白熱したね。」

「うん。思わず、熱くなっちまった。」

 結局、すくえたのは、あの一匹だけだったけど、久々に童心に返って、とても、楽しかった。

「かわいい。」

 小さな、ビニール袋の中で、無邪気に泳ぐ金魚を二人で、眺める。

「なんか、喉乾いたな。かき氷でも食う?」

「あ、うん。」

 人混みの喧騒を、少しだけ離れて、空いているベンチに座り、並んでかき氷を食べた。

「美緒、今日、門限って何時?」

 不意に、遼が尋ねる。

「九時。」

「早っ。でも、花火、見ていけるよな。」

「うん。」



< 10 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop