夏祭り
 そう、今日は、この後、花火大会がある。それも、楽しみのひとつだった。絶対に、はずせない。

 遼と二人で、花火を見るなんて、考えただけで、昨夜は、よく眠れなかったくらいだ。

「花火見るなら、いい場所は、すぐになくなるから、そろそろ行くか。」

 遼が、言った、その時だった。
 前の方から、小さな男の子が、一人で、泣きながら歩いてきた。

「迷子かしら。」

「なんか、そうらしいな。」

 近くに、親らしい人は、いない。
 思いきって、私は、声をかけた。

「どうしたの?」
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