夏祭り
「ママ、いない。うわぁん。」

 男の子は、泣き止まない。よく見ると、膝を擦りむいて、血を流している。

 私は、持っていた籐のバックから、ポケットティッシュを出して、膝を拭ってあげた。

「大丈夫だよ。ほら。一緒に、ママを探そう。」

 そう言うと、男の子は、少し安心したのか、泣き止んで、つぶらな瞳で、私を見つめた。

 もうすぐ、花火が始まるけど、仕方ない。
 
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