夏祭り
 嬉しくて、ぼうっとしていると、遼が、言った。

「美緒ってさぁ、そういうところ、なんか、いいよな。」

「えっ?」

 驚いて、聞き返すと、遼は、続けた。

「他人のために、自分犠牲にしても、頑張っちまう、お人好しなとこ。
 学祭の準備や、委員会の仕事も、目立たない面倒なことばっか、おまえ、文句も言わず、引き受けててさ。」

「あ、あれは、たまたま、私が、要領悪かっただけっていうか。」

「そういうところに、惚れたんだよな。俺。」

 えっ!えっ!
 どうしよう。すごい、嬉しい。
 でも、恥ずかしくて、顔を上げられない。きっと、真っ赤になっているだろうから。


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