週刊誌ライター
 でも、そう気に留めてなかった。


 世間は出自や周辺状況で判断するのかもしれないけれど、ライターは実力勝負だ。


 それにあたしも家族や親族とは手を切ったのである。


 互いに何も言い合わない。


 言っても無駄だからである。


 あの人のアルコールの量や暴言の類が日増しに増えているのは噂で聞いていたのだが、実際、死んでも葬式すら行ってやりたくないのである。


 それぐらい、憎悪していた。


 家の看板に泥塗りやがって。


 そうとしか思えない。


 あたしにはただそれだけの感情しかなかった。


 まあ、つまるところ、あたしの家族運が薄いということなのだが……。


 でも、いいのである。


 
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