取り込む家
更衣室の隣にある掃除道室を開けると、そこは更衣室よりも大きな部屋になっていて驚いた。


「無駄に広いでしょ? 元々はここが男子更衣室だったんだって。でも男性従業員がどんどん少なくなって、今じゃ掃除道室だよ」


雪さんはそう言って、笑い声を上げた。


「男性スタッフはどこで着替えているんですか?」


「昔の掃除道具室だよ。2畳くらいのスペースだけど、1人で着替えるだから広いくらいだよ」


「男性は1人しかいないんですか?」


あたしは驚いて聞き返した。


「あぁ。厨房に1人いるだけだよ。ここはファミレスだけど、最近では女性客が大半を占めるようになってきてね、それに伴って女性スタッフを多く雇うようになったんだ」


「そうなんですか」


お店にも色々と事情があるみたいだ。


時代の移り変わりに臨機応変に対応していくのは、大変そうだ。


「じゃ、尾崎さんはモップとバケツを持って来て」


雪さんにそう指示をされ、あたしは「はい!」と返事をしてすぐに体を動かしたのだった。
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