取り込む家
人であった時間~翔也サイド~
俺は今日も彼らの幸せそうな笑い声を聞いていた。


咲が怖がっているから、しばらくは物音を立てないように気をつけている。


彼らがこの家に来てから、とてもいい香りがするようになってきていた。


食事や香水の香りじゃない。


1つの家庭の香りだ。


それぞれが生活をしている間に知らぬうちに出て来る香り。


その香りは俺の家とは全く違うものだったけれど、それでもなぜだか、懐かしいと感じられた。


彼らが来る前、この家はなんの香りにも包まれていなかった。


ただ整然とそこに部屋があるだけで、機能していなかった。
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