取り込む家
考えると、咲の気持ちが少しだけ理解できる気がした。


俺ならそんな仲間の中に入ろうとはしない。


会話が終ってから入って行くだろう。


だけどあの状況だと咲に逃げ道なんてなかった。


一生懸命話を聞き、興味を持ち、そして質問するくらいしかできなかったんじゃないか?


そこまで考えた時、後方からクラクションが鳴らされた。


いつの間にか青信号になっていて、慌ててアクセルを踏んだ。


俺は近くのスーパーの駐車場に車を止めてさらに考えた。


咲は1人で一生懸命話題に入り、俺の両親に気に入られようとしていたんだ。


それなのに俺はそんなことにも気が付かず、両親との思い出話に花を咲かせてしまった。


時々でも咲でもわかる話題を出せばよかったんだ。


大学での出来事や他愛のない日常生活の話。


どんな話題でもできたじゃないか。


そしてその流れで咲が料理を作ってくれているという話をふることだってできたはずだった。


そう考えて、大きくため息を吐き出した。


あの場で咲の事を一番考えなきゃいけないのは、俺だったんだ。

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