取り込む家
今朝、怒っていた咲を思い出して再びため息を吐き出した。


すぐに帰っても咲は家にいない。


バイト先までおしかけるわけにもいかないし……。


そう考えていると、車のミラーにスーパーが写っていることに気が付いた。


料理か……。


料理なんて今までまともにしてきたことは1度もない。


咲と同棲するようになって手伝うようにはなっていたけれど、1から1人で作った事はなかった。


考えながら、俺は車を下りて店へと歩き始めていた。


咲も料理は得意ではないのだと、付き合い始めたころに言っていた事を思い出す。


咲は同棲をはじめてから苦手な料理を毎日作ってくれているのだ。


少しでも上達するために、ファミレスでのバイトまで始めた。


それなら俺も、苦手な料理で気持ちを伝えてみようか。


そう、思ったのだった。
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