取り込む家
そう言うと、咲は嬉しそうにほほ笑んだ。


「すごいね優生。とってもおいしそう!」


「ありがとう……なぁ、咲」


今言わないと、言うタイミングを逃してしまう。


「なに?」


「両親の事……ごめんな。咲のために料理をしてたら気が付いたんだ。料理をしている人間は食べている人間のこを、ずっと考えてるんだってこと。それなのに俺、咲の事ちっとも考えてなくて……」


そう言うと、咲は左右に首を振った。


「あたしこそごめんね。怒ったりして」


「咲……」


「優生は優しいね。こうしてちゃんとあたしの立場になって考えてくれるんだから」


そう言う咲をとても愛しく感じて、俺は先の体を抱きしめていた。


改めて、この小さな体を守りたいと思ったのだった。
< 146 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop