取り込む家
「えっと。あたしの友達の真衣だよ。こっちは彼氏の優生」


「はじめまして、真衣です」


真衣は礼儀正しくお辞儀をしてそう言った。


立花さんがほほ笑み「よろしくね」と、真衣の手を握った。


その瞬間、真衣の顔がほんのりとピンク色に染まる。


その手は数年前まであたしに握られていた手だ。


そんな感情が湧き上がってきて驚いた。


立花さんの事なんてスッカリ忘れてしまっていたのに、この気持ちは一体なんなんだろう?


昔の恋人が突然現れたから、きっと混乱しているに違いない。


「料理、持ってくるね」


あたしはそう言い席を立った。
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