取り込む家
タチバナから話かけられれば答えるが、絶対に視線を合わせないのだ。


しかも、話かけられた瞬間微かに体を震わせている。


サキはタチバナと面識があるのか?


それにしては、さっき自己紹介をしていたしな……。


疑問を感じた時、ユウセイがなにか思い出したように席を立った。


「この近くにおいしいパン屋があるんだけど、買ってこようか?」


小鉢のような料理だけでは足りないと思ったのか、そう言い出した。


サキが慌てて席を立ち「それなら、あたしが行く」と、言った。


少しでもいいからこの場から離れたい。


そんな意思を感じ取る事ができた。


しかし、ユウセイはそれに気が付かなかった。
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