取り込む家
そう言い、俺を睨んで来る立花。


そうなんだろうか?


だけど俺が出かける前とではどこか雰囲気が違う。


まるで別人みたいによそよそしいし、視線を合わせようともしない。


「咲ちゃんが帰って来る前にパンをお皿に用意しておこうか」


俺たちのやりとりで会話に入ってこれていなかった真衣ちゃんが、小声でそう聞いて来た。


「あぁ。そうだな。皿は棚にあるから適当に使ってくれ」


そう返事をすると真衣ちゃんは頷き、パンの入った袋を片手にキッチンの方へと移動した。


「俺たちが買い物に出ている間になにかあったか?」


俺は立花の隣に座ってそう聞いた。


「なにも。いや、大きな物音がしたな」
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