取り込む家
時計の音を聞いていた時、後方からそんな声が聞こえて来てあたしは振り向いた。


「優生!」


金光優生。


長身で短髪、今年20歳の誕生日を迎えたあたしの彼氏がそこに立っていた。


「いよいよ今日から同棲か。なんか緊張するな」


優生はそう言い、肩を揺らした。


「ほんとだね……」


優生とあたしは大学に入学してから付き合い始めた。


今年で丁度3年目だ。


20歳になったら一緒に暮らそうと言われたのは、去年の誕生日のことだった。


安っぽい指輪と一緒にその言葉を貰った時、一瞬結婚を申し込まれたのかと勘違いしてしまった。


その事に気が付いた優生は慌てて『もちろん、いずれ結婚も考えてる』と、付け加えていた。


当時の出来事を思い出して、小さく笑った。

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