取り込む家
看護師がトイレにつけられている小さな鏡の前まで移動させてくれた。


少し汚れている鏡に自分の姿を映してみる。


その姿を見て俺は「あぁ……」と、声を漏らしていた。


一気に涙が浮かんできてボロボロとこぼれ落ちる。


そこに映っていたのは紛れもなく俺自身の姿だった。


てっきりユウセイの体に乗り移ってしまって、自分自身はもう死んだのではないか。


そう思っていたけれど……鏡に映っているそれは常山翔也そのものだったのだ。

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