取り込む家
顔をしかめてこめかみを押さえると「大丈夫!? 病室へ戻りましょう」と、看護師が慌てたように言った。


俺は誰で、なにをしてたんだっけ?


考えることもできないほどの頭痛。


だけどそれはほんの一瞬の出来事で波がひくようにスッと痛みは引いて行った。


俺が誰だかわからないなら、このまま優生になればいいじゃないか。


記憶の事はどうとでもなる。


可愛い彼女に優しい両親。


バイト先の立花はどうしようもないバカだけど、そこそこの暮らしができるはずだ。


あの屋根裏での生活を考えると天国じゃないか。
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