取り込む家
犯人は大グループなのか?


それにしては、妙だな。


集まって来た15人の人間はテーブルを囲んで和気藹々と楽しい会話を始めているのだ。


みんなまだ若く、20歳前後のように見える。


時々「映画サークル」と言う言葉も飛び交い、彼等が大学生で、同じサークルのメンバーなのだと言う事が見えて来た。


しかし、どれだけその会話に耳を傾けてみても、俺を誘拐してここへ閉じ込めたと言う内容のものは聞こえて来なかった。


穴の中から見えるその光景は2人の男女を取り囲んで、とても幸せで楽しそうな雰囲気に満ち溢れている。


この中に犯人がいるなんて、思えないような光景だった。


しばらく穴から下の様子を見ていた俺だが、茫然としてその場に仰向けになった。


天井を見上げて深く呼吸を繰り返す。
< 30 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop