取り込む家
あの男女はこの家を借りて同棲を始めたと言っていた。


今日はその記念パーティーだと。


自分の心臓がドクドクと音を立てているのが聞こえて来た。


あの男女が犯人だなんて思えなかった。


だとすれば、あの2人は俺がここにいると言う事を知らずにこの家を借りたのだろう。


……助かるかもしれない。


そんな期待が膨らんでいくのを感じていた。


彼等は犯人じゃない。


俺を攻撃する可能性はない。


それなら、俺がここにいる事を知らせればいいんだ。


俺はゴクリと唾を飲みこみ、再び穴に目を近づけた。


下の部屋は電気が消され、テレビの音だけが聞こえてきていた。


彼等は映画サークルだと言っていた。
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