取り込む家
そう言い、優生は昨日みんなで映画鑑賞したリビングへと移動した。


片付けが終わっているから、テーブルとテレビくらいしか物がないガランとした部屋だ。


今日の荷物でここに2人がけのソファが来る予定になっている。


その何もない床にあたしは寝かされた。


優生が優しくキスをしてくれる。


まだ洗い物が残っているのに。


そう文句を言う前に優生の手があたしの太ももに触れていた。


熱い手の感触に体の力が奪われていくのを感じる。


まだ起きたばかりでこんなに早い時間なのに……。


心の中でそう思うが、あたしの口からその言葉が出て来ることはなかったのだった。
< 37 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop