取り込む家
馬鹿でかい割に、高さはない。


ケースの外側はとても冷たく、これが部屋の中を冷やしているのだとわかった。


俺は上半身を起こし、暗闇に馴れて来た目で周囲を確認した。


ドアがない……?


どうやらこの部屋にはドアがついていないようだ。


屋根裏だとすれば床にドアがついているのかもしれなかったが、見える範囲にそのようなものはなかった。


俺は落胆のため息を吐き出した。


すぐに脱出するはずだったのに、そう簡単にはいかないようだ。


だけど出口は必ずどこかにあるはずだ。


そうだ。


ベッドの下はまだ確認してなかったな。


そう思い、隣の部屋に見えている木製のベッドを見る。


床とベッドの間にスペースはなく、完全に密着している状態だ。
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