取り込む家
あのベッドで扉を隠しているという可能性は十分にありそうだ。


もしくは俺の目の前にあるこのケース。


見たところかなり重たそうだし、今の俺ならこれを動かす事ができないと思っておかれたのかもしれない。


用意周到に俺をここへ閉じ込めた犯人に、ふつふつと怒りがこみあげて来るのを感じた。


誰が何のために俺をここへ閉じ込めたのかはわからない。


もしかしたらどこからかこの光景を見ている奴でもいるのだろうか?


そう思い、天井を確認した。


三角の天井はただただそこに存在しているだけで、監視カメラがあるかどうかもわからなかった。


俺は深くため息を吐き出したあと、気を取り直して白い箱に向き直った。


なにが入っているんだろうか?


高さは俺の胸くらいしかないので、頑張れば蓋を開ける事もできそうだ。


俺はそう思い、蓋の縁に肩を押し当てた。


肩の力で蓋を持ち上げようと思ったのだが、蓋はしっかりと閉められていて簡単には開かない。


何度か力を込めてみたけれど、それはびくともしなかった。


だけどこの中身を確認して見ない事には次に進むことはできない。


そう思った時だった。
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