取り込む家
自然解凍なのだから少し時間を待てばいいだけなのだが、今はそれをしたくなかった。


歯で米をかみ砕いていく感触をしっかりと味わう。


次第に顎が痛くなり、歯にも痛みが走りだした時俺はようやく袋から顔を上げた。


ジンジン熱を持った痛みに安堵する。


大丈夫、大丈夫、彼等はまたここに戻ってくる。


そう思い、俺は残った米を頬を押し当て痛みを和らげたのだった。
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