取り込む家
いい香りと丁度いい味付けが口の中に広がり、ホッと安心できる味になっている。


「咲は料理が上手だね」


「な、なに言ってるの」


本心を言っただけなのに咲は赤くなって顔をそむけてしまった。


さっきまでテキパキと料理を作っていた手も止まっている。


俺がいると気になって作業が進まないのかもしれない。


「やっぱり、俺は先に着替えをしてくるよ」


俺はそう言い、キッチンを出たのだった。
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