取り込む家
箱の側面に同色の四角いボタンが付いている事に気が付いた。


これで開けるのか?


そう思い、今度は右肩でボタンを押してみた。


瞬間、あれほど固く閉ざされていた蓋が簡単に開いたのだ。


自動で上まで持ち上がって行く蓋を確認し、俺は箱の中を覗き込んだ。


箱の中からは冷気が立ち上っていて、すぐに体が冷えていくのを感じた。


まるで冷凍庫の中みたいだ。


そう思いながら中を確認すると、たしかにそれは冷凍庫だったのだ。


業務用の大きな冷凍庫そのものだ。


そしてその中に入っていたものはすべて冷凍食品だったのだ。


俺は食品を見て瞬きを繰り返した。


なんでこんなところにこんなに大量の食糧があるんだ?


ギッシリと敷き詰められるように入れられた冷凍食品と、飲料。


屋根裏にあるということは非常食なのだろうか?

そう思うが、ここには出入り口がない。


それにこの冷蔵庫、まるで俺の今の身長に合わせたように低くなっている。


まさか、ここで何週間も生活をしろってことじゃないよな?


一瞬にして寒気が走り、俺はボタンを押して蓋を閉めた。

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