取り込む家
鈴の音~翔也サイド~
2人が家を出たのは午前中の事だった。


今日は2人とも休日らしく、のんびりとした雰囲気だった。


おそらく今日は土曜日か日曜日なのだろう。


2人が家を出ると俺にとっては暇な時間になる。


穴から部屋を覗いても2人の姿はないし、テレビの音が聞こえて来ることもない。


仕方なく隣の部屋から冷凍食品を持って来て、ベッドの上でそれを食べた。


朝ご飯を食べながらも、咲が作った料理の香りを思い出す。


おいしそうな味噌汁の香りや、肉を焼く匂い。


空腹ではないはずなのに、思い出すとゴクリと喉がなった。


きっと咲が作った暖かな料理というのが、魅力的なんだ。


俺もまた暖かい料理を食べられる日が来るんだろうか?


そう、考えながら……。
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