取り込む家
「両親からだ。今度の休みにこの家を見にきたいってさ」


「えっ?」


俺の言葉に咲は箸を持ったまま固まってしまった。


掴んでいた肉団子が茶碗の上にポロリと落ちた。


「一応どんな家を借りたのか見てみたいらしいんだけど……」


俺は先の様子を伺いながら言葉を続けた。


咲にとって俺の両親に会うのは3度目だ。


最初は付き合い始めた頃。


そして同棲すると決めた時にもう1度家に招待していた。


「そっか。そうだよね。うん」


咲は自分に言い聞かせるように何度も頷く。
< 80 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop