2人の王女と2人の騎士
「さて、王都に着いたばかりで申し訳ないのですが、明日に私たちの結婚式を行います」
「…今何と?」
思いもよらない言葉が聞こえてきた気がするので思わず聞き返してしまった。
「結婚式…です。予定通り到着したので、城での準備はほぼ整っているはず」
「待って下さい、明日なんて急すぎます…!それに私自体の準備がまだ…」
「そこは心配入りません。ドレスも姫の体型に合った物を用意していますし、当日はほとんど私の横で微笑んでいてくれれば大丈夫ですので」
ドレスもって…。
何回か話をしたぐらいで私の体型まで知られているとしたら、それは鳥肌が立つ。
それとも直接じゃなくて、間接的に調べたのだろうか。
どちらにしても用意周到すぎる。
「式を挙げて正式に夫婦となればファルサリアも手を出しづらいはずです。…残念でしたね、あなたを助けには来られなかったようです」
「そんな事…」
絶対にない。
必ず来てくれると信じている。
それだけが私の心の支えなのに、はっきりそう言わないで…。
もしもイグニスが来てくれなかったら…?
致命傷を負っていたら…?
…死んでしまっていたら…?
…だめ、それは考えないって決めたじゃない。
心が折れそうになり、何回も自分に言い聞かせて冷静を保とうとする程、どんどん最悪な方に考えが向いてしまう。