2人の王女と2人の騎士
「どうしましたか?行きますよ」
立ち止まったままの私を見て促される。
このまま棒立ちしていては不審に思われると思って、1歩1歩ゆっくりと足を踏み出し始めた。
あと数歩歩いたら…
行動してしまおう…
そう覚悟を決めて地面を踏みしめるように歩いていると、何歩目か足を前に出した時にガサッと何かを踏んだ音がした。
落ち葉のような乾燥した音だけど、感触が違う。
ふと足元を見ると、ちいさな白い紙が落ちていた。
見た目からして落とされてすぐのようだ。
汚れもなければ破けてもいない。
「アレン王子が落としたもの?」
そう思って髪を拾い、裏返してみる。
「これって…もしかして…?」
記号のような暗号のような羅列。
これは、忘れもしないクライドとの勉強の日々で学んだもの…。
紛れもなくファルサリアに伝わる古代文字だった。
「姫!何をしているのですか?」
「…今行きます」
一目見ただけでは解読出来ない。
でもファルサリアの誰かが私宛てに書いたメモだという事は間違いないはず。
絶望の中に一筋の希望が差したような気持ちになり、自ら逃げ出す作戦はやめる事にした。
とりあえず服のポケットに紙を入れると、アレン王子の待つ城の中へ急いだ。