2人の王女と2人の騎士
「では姫、ここからはこの者が身の回りのお世話をさせていただきます。…あ、そうそう。明日の式の作法についても覚えてもらいますので。…よろしく頼んだよ」
「かしこまりました、アレン様」
そう言ってアレン王子は足早にその場を去って行った。
侍女はアレン王子の姿が見えなくなるまで頭を下げ続けると、クルッと向きを変えて私に向き直る。
「セラフィーナ様付きの侍女となりました、ジェシカと申します。これからよろしくお願い致します」
優しく微笑みながら丁寧なお辞儀をする彼女は、私とあまり年が変わらないように見えた。
「よろしくね、ジェシカ」
簡単な挨拶を済ませるとジェシカの案内で城の奥へと通される。
しばらく廊下を歩いていても誰ともすれ違わないし、とても静かだ。
ファルサリアの城ではいつも誰かがいて、話し声や笑い声が聞こえていたのに…。
こんな大きな城だと人がいても声が聞こえないのだろうか。
何だか不気味だ…。
「こちらがセラフィーナ様のお部屋です」
城の本当に奥…
来た道が分からなくなる程遠くの部屋に案内された。
まあ逃げ出されたら困るものね。
幽閉しておきたいのだろう。
そう思いながら中に足を踏み入れると、そこはとても広くて豪華絢爛。
金色の装飾品や、高級そうな赤い絨毯、明らかに1人用ではない大きさのベッドが置いてあった。
…何となくアレン王子の趣味を感じる。