2人の王女と2人の騎士


翌日────


朝早くから結婚式の支度が始まった。

用意されていたというウエディングドレスはマーメイドタイプで胸元と背中が大きく開き、裾も大きく広がる派手で大人っぽい雰囲気のものだった。


これまた私の好みではない。
それにスタイルが良い訳ではないから着こなせる自信もない。

ティアが着たらすごく似合いそうだなと考えながらもジェシカを始め、侍女たちにすばやく着せられていく。



「こんな形でウエディングドレスを着る事になるなんて」



幼い頃から憧れていた、花嫁だけが着れる純白のドレス。

大好きな人と結婚する時に着る特別なドレス…。

でも鏡に映る自分は悲しい顔をしている。
これから結婚式を挙げる花嫁の顔にはとても見えない。




「とってもお綺麗ですわ」

「まるで純白の女神様のよう…」


侍女たちは私の姿を見てうっとりとした表情を浮かべていた。
しかしいくら見た目を褒められても嬉しくなる事はない。

私は好きでもない人と結婚式に臨まないといけないのだから。




「セラフィーナ様?緊張なさっているのですか?」

「…あ、そうね。緊張…してるわ」



緊張といっても式への緊張ではない。

アレン王子と夫婦になってしまうという緊張と不安があった。



折角着せてもらったけど、このドレスを早く脱ぎたい…。

花嫁になんかなりたくない…。


こんな事ばかりが思い浮かんでくる。


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