2人の王女と2人の騎士
「なぜだ…!私はこんなにもあなたを手に入れたいのに!国も人も物も全て私のものなのに、あなただけが手に入らないっ!」
アレン王子の悲痛な叫びがこだまする。
その怒り狂った姿はいつもの余裕な態度は感じられなかった。
…どうしてだろう。
彼は正しいとは言えない行動をしているし、大勢の人を傷つけているのに…。
こんな姿を見てしまったら、何だか憎めない気がしてきた。
「…アレン王子…」
「…っ!セラ、危ない!」
アレン王子に近づく私にイグニスが声を上げる。
と同時に、私は強い力で首を絞められていた。
「うっ…!」
振り解こうとしてもびくともしない。
本気で私を殺そうとしているような力なのに、目の前には今にも泣き出しそうな悲痛な表情を浮かべるアレン王子がいた。