2人の王女と2人の騎士
「ならば、私の命と引き換えるが良い」
私の目の前に、貫禄のある出で立ちの男性が突然現れた。
顔のつくりと雰囲気はアレン王子の持つものとそっくり。
その風格は一目見ただけで、この人が誰なのかが分かる。
「あなたがレイスフォールの国王陛下…」
私が呟くように言うと、小さく頷いた。
しかしこちらを見つめる国王陛下は顔色が悪く、体調が良くない事はすぐに理解出来た。
大国の王とは思えない程体は痩せ細っており、立ち上がるのもやっとのように見える。
「いかにも。あなたはファルサリアのセラフィーナ姫ですね?」
「はい」
「アレンが起こした事は聞きました。本当に申し訳ない…。見ての通り不出来な息子だが、これでも私に代わって見事に国を治めているのです。侍女が言う通り、アレンしか次の王はいない。…もう2度とこのような事はしないと誓わせます。ですから私の命で償わせていただきたい」
そう言って国王は頭を下げる。
私は驚きの表情で彼を見つめた。
一国の王が自ら頭を下げるなんて聞いた事がない。王族はやすやすと頭を下げるなと父様や母様にもしょっちゅう言われていた。
ましてやレイスフォールの国王なんて…。
屈辱にも思える程ではないだろうか。