2人の王女と2人の騎士
でもジェシカも国王も…。
ここまでしてアレン王子を救おうとする2人の姿に分かった事が1つある。
アレン王子は愛されていると。
私たちに対する仕打ちを除けば、レイスフォールでの彼は皆に慕われる良い王子であり、自慢の良い息子なのだろう。
私はスッと立ち上がると、頭を下げ続ける国王の側に歩み寄る。
「頭を上げて下さい。あなたのお気持ちは十分伝わりました」
「セラフィーナ姫…」
苦しげに私を見る彼に少しだけ笑みを見せると、今度はアレン王子の元に向かう。
近くで見るとぐったりした様子で、背中は血で真っ赤に染まっているのが分かった。
ジェシカはそんなの気にも留めずに、ただただ彼を抱きしめ続けている。
「…私の負けだ。ジェシカと父上には何の罪もない。早く殺せ…」
脂汗をかいて呼吸が荒い…。
そんな彼の瞳には何もかも諦めたような色が映っている。
私は腰を折ってアレン王子の瞳を覗き込むと、その手に優しく触れた。
「セラフィーナ…姫…?」
あんなに拒絶してたのに、私から触れるものだから信じられないような瞳で私を見つめている。
イグニスも驚いていたけど、何も言わずに見守っていた。