2人の王女と2人の騎士
レイスフォールの王都が後ろに小さく見えた頃、森に囲まれた道へやって来た。
葉が擦れる音と馬のひづめだけが聞こえてくるとイグニスも落ち着いたのか鼻歌を歌い始めた。
イグニスがいる…
こんな当たり前の光景が戻ってきたのだと実感すると、嬉しく感じてしまう。
こうやって帰れるのはとても待ち望んだ事なのだけど、1つだけ気になる事があった。
「…父様、怒ってないかな」
「あ?大丈夫だろう。それよりも娘が助かって喜んでるはずさ」
「だと良いのだけど」
私が気になっているのはアレン王子の事。
国王の意見を聞かずに私が勝手に王子を許してしまった。
今日の朝ファルサリアから父様が書いた手紙が届いて、私の決めた事ならそれで良いと書かれていたけど、本当はどう思っているのか直接会って聞かない限り、不安は拭えなかった。
でも…イグニスがそう言うなら…
少し気持ちは楽になる。