2人の王女と2人の騎士


ファルサリアに着くまで数日かかった。

レイスフォールへ行ったように帰りも同じように時間がかかり、ここ最近の私の生活は移動してばかりだ。

こんなにも城を離れた事がなかったから、ファルサリア城が目に入った時はとても安心した。



「帰って来れたんだ…」



城も無傷で、無事である事にも安堵する。



「ほら、見てみろよ」



イグニスに促されて城の正門に視線を移す。

すると、まるで大家族のように見知った人たちが集まって私を出迎えてくれていた。





「セラー!」



馬車を降りた私に向かって駆け寄って来るのはティアだった。

久しぶりに見るティアは何年も会っていなかったかのように、とても懐かしく感じる。



「ティア!」


「無事で良かった…。本当に良かったわ…」


私の存在を確かめるように抱きしめてくれる。



「ただいま、ティア」

「ええ、おかえりなさい」


私はちゃんと帰って来たのだと伝えたかった。

〝おかえり〟と言ってくれてファルサリアに戻って来れたのだとようやく実感する。

ティアは涙を浮かべながら私に微笑みかけてくれた。

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