2人の王女と2人の騎士
「無事にお戻り下さって安心致しました」
クライドがティアの少し後ろから、軽く礼をした。相変わらず口調と態度は表向きだけど、その表情は私を快く迎えてくれているのだと感じた。
「あ、そうだ。クライドが教えてくれた古代文字に助けられたのよ」
「そうですか。お役に立てて光栄です」
「…もしかして、クライドがあのメモを…?」
「さあ…それはどうでしょう?」
自分は何もしていないと、涼しい顔をしているけど、きっと古代文字を使うように考えたのはクライドなのだろう。イグニスは古代文字を読めないはずだし。
それに、彼も国境付近で戦っていたと聞いた。
こうして城も王都も…私がここに戻って来れた事も、クライドのお陰なのだと思うと感謝してもし切れない。