2人の王女と2人の騎士


そして更に城の中へ歩いていくと父様や母様、城の皆もいて私の帰郷を喜んでくれた。


そして、あの方も。



「ローズマリー様」

「無事のお帰り、嬉しく思っているわ。…それから、以前心ない言葉を言ってしまった事…謝ります」


そう言って丁寧な礼をされた。
私はまさか謝られるとは思わなかったから慌ててしまった。


「頭を上げて下さい。もう気にしていませんから」


私が微笑むとローズマリー様もつられて笑ってくれた。
その笑顔には前に感じた怖い雰囲気はない。
これからは構えず、自然に接していけると確信した。






そして、今度は隣にいる父様に目を向ける。

きちんと謝らなければ…。




「父様…今回の事、本当にごめんなさい。それと私が勝手にアレン王子の事…」


「そんな事はもう良い」


「えっ…」


私の言葉を遮ると、父様は私を包み込んで存在を確かめるように抱きしめる。
こんな事をされたのは久しぶりで驚いてしまった。



「セラフィーナが無事であればそれ以上望む事はない。それよりもそなたを簡単にレイスフォールへ差し出してしまった事、本当に後悔していたのだ。すまなかった」


「父様…」



攫われた後、私を助けるように指示したのは父様が決定した事だと思う。
こんな風に嬉し涙を流す父様は見た事がないし、今は私を王女としてではなく、娘として見てくれている事に嬉しさを感じた。

幼い頃はよく父様に抱っこされていたのを思い出す。

白髪も混じって少し年を取ってしまったけど、あの時感じた温もりは今も変わってなくて良かった…。

< 125 / 131 >

この作品をシェア

pagetop