2人の王女と2人の騎士
「…陛下、大臣殿、父さん母さん…俺とセラフィーナ姫の結婚を認めて下さい」
「なっ…セラフィーナと…」
いきなり何を言い出すのかと全員驚いていたけど、1番驚いていたのは父様。
…確かにイグニスと思いは通じ合った。
でも結婚なんて遠い夢のようで手が届かないと思っていたから彼がそこまで考えていた事に驚きながら嬉しくも感じている私がいた。
「しかし姫様はあなたの生まれを知っておいでか?」
「生まれ…?」
大臣は厳しい表情でイグニスを見下ろすと同時にイグニスの両親は顔を俯かせた。
「イグニス?」
跪いたままの彼に声をかけると、立ち上がって気まずそうに私を見つめる。
「…今まで言う必要はないと思って黙っていたけど、実は俺…捨て子だったんだ。だから正統なバートレット家の血筋ではない。それで…」
「何か問題があるの?イグニスの血筋がどうとか関係ないわ。イグニスはイグニスでしょ?」
私の言葉にイグニスの両親はパッと明るい笑みを浮かべ、父様は声を出して笑っていた。大臣はやれやれと肩を落としてため息をついている。
だって今更そんな事言われても何も変わらないのは事実じゃない。