2人の王女と2人の騎士
「確かに…。私も血筋がどうとか気にしているのは、古い考えかもしれない。なぁ大臣?」
あの父様が…。
私をどこかの王子と結婚させると言って聞かない父様が、そんな事を言うなんて信じられなかった。
父様は含み笑いで大臣に目をやると、少し考えて込んでから小さくため息をつく。
「陛下も、息子のクライドも変わりましたね…。あなたも姫様を守り、ファルサリアに帰って来た。そろそろ実力を認めてやれという事ですか」
「では…」
「イグニスとセラフィーナの結婚を認めよう。…だが、本人の意思をまだ確認していないのではないか?」
そう言って私を見てニヤリと微笑む。
イグニスはハッとして真っ直ぐに私に向き直った。
見上げたその顔は傷だらけで痛々しいはずなのに、私を守った勲章に見えてとてもキラキラと輝いて見える…。
「セラ、俺はこれからも一緒にいたい…家族になりたいんだ。俺と…結婚して下さい」
差し出されたその手には1輪の花…
花というか蕾が膨らんだ植物があった。
いつか見たあの花の輝きは今は見れないけれど、私の喜びで花を咲かせられそうな…そんな気持ちが芽生える。
「…こちらこそ、よろしくお願いします」
彼の手から月光花を受け取ると、ニコリとほほ笑んだ。
すると周りにいた皆から祝福の大きな拍手を送られた。
いつから私たちを見ていたのだろうか。
これでは公開プロポーズになってしまって少し恥ずかしかったけど、隣で微笑むイグニスを見るとその気持ちはどこかに消えてしまっていた。
そしてティアと目が合うと、満面の笑みでおめでとうと口を動かしているのが見えた。
好きな人と添い遂げる事が出来るとは何て幸せな事なんだろうと思いを噛み締めつつ、これから来るイグニスとの未来に思いを馳せながら彼の横顔を見つめるのだった。