2人の王女と2人の騎士


夢のような幸せな時間もあっという間。
クライド先生の授業は1週間経って終わってしまったけど、しばらくはこの余韻に浸っていられる…。
だけど1週間ろくに体を動かしていなかったから久しぶりに行きたいな。
私は着替えを済ませて訓練場へ向かおうとした。





「…ティア?」



廊下を歩いていると黒髪が揺れている後ろ姿を見つけた。声が聞こえるから誰かと話しているようだ。




「ティア…?…っ!」




柱の影で見えなかったけど、近づいてみると話し相手の姿も確認できた。





クライドだった。





別にティアとクライドが話をするなんて普通の事。

なのにどうしてだろう。




胸が痛い…。





だってクライドの顔、私が見た事のない表情だったから。




いや、きっと気のせいだ。
気のせいだと思いたいのにあの2人に声をかけられなくて、そっとその場を離れた。

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