2人の王女と2人の騎士
訓練場に着くと頭の中を空っぽにするように稽古に打ち込んだ。
何も考えない、考えない、考えない…!
「あっ!」
持っていた剣が弾き飛ばされ、地面に横たわっていた。
「まさか姫様が…」
「姫様が負けるなんて珍しいな…」
兵たちは驚いた顔で私を見た。
「1週間ぶりだから体が鈍ってしまったかも。あはは」
精一杯の笑顔を作ってみるけど心ここにあらず。横たわった剣を見つめると、まるで私の心のように見えてくる。考えないようにしていたのに…。
「ちょっとこっち来い」
今にも泣き出しそうな私を隠すかのように、イグニスの腕に包まれた。
「少し外す。いつものセットメニューをしていろ。すぐに戻る」
「了解しました!」
兵たちの声を聞くと、私とイグニスはその場を離れた。