2人の王女と2人の騎士


訓練場に着くと頭の中を空っぽにするように稽古に打ち込んだ。



何も考えない、考えない、考えない…!




「あっ!」


持っていた剣が弾き飛ばされ、地面に横たわっていた。

「まさか姫様が…」

「姫様が負けるなんて珍しいな…」


兵たちは驚いた顔で私を見た。


「1週間ぶりだから体が鈍ってしまったかも。あはは」



精一杯の笑顔を作ってみるけど心ここにあらず。横たわった剣を見つめると、まるで私の心のように見えてくる。考えないようにしていたのに…。


「ちょっとこっち来い」


今にも泣き出しそうな私を隠すかのように、イグニスの腕に包まれた。

「少し外す。いつものセットメニューをしていろ。すぐに戻る」

「了解しました!」



兵たちの声を聞くと、私とイグニスはその場を離れた。

< 16 / 131 >

この作品をシェア

pagetop