2人の王女と2人の騎士
「ティアー!」
背筋を真っ直ぐ伸ばし、歩く姿はまるで蝶か花か。
私の呼び声に気づいたティアはゆっくりと振り返った。
「セラ」
艶やかなロングストレートの黒髪に漆黒の瞳をもつ私の姉、ティアルーシェ・グレース・ファルサリア。1つ年上の17才。
「どこか行くところ?」
「ええ。読みたい本があるから図書室に」
「そう。ティアは相変わらずね、じゃ!」
私は足踏みしながら立ち話をすぐに切り上げ、逃げるように走り去る。
ゆっくり話していたいけど、今はそれどころではない。
「待って!今日は会う人がいるんじゃ…」
その通りなんだけどね…。
ティアの声は虚しく廊下にこだました。