2人の王女と2人の騎士
父様の開会宣言がされると会場はゆったりとしたクラシック音楽が流れる。オーケストラの生演奏だ。広間でダンスする人、歓談に花を咲かせる人…いかにも上流階級の集まりといった感じだ。
でも私はそんなものには興味ない。
目指すは色とりどりに並ぶあの料理…!
「セラフィーナ」
今にも駆け出しそうな勢いを止めたのは父様だった。プラチナブロンドの髪にスカイブルーの瞳で大きな髭をたくわえている。私は父様の生き写しと言われる程似ていて、髪色も瞳も同じ色をもっている。
「この前のアレン王子の事だ。また逃げ回っていたそうじゃないか」
やっぱり父様にも知られていた。苦笑いを浮かべる事しか出来ない。
「良い縁談だ。アレン王子はレイスフォールの次期国王。将来は王妃になれる」
「父様、何回も言ってるように私は王妃の器じゃないわ」
父様も知っているとおり、私はお転婆姫と言われている。こんな王女が他国の王子に嫁ぐなんて恥さらしだ。ましてや次期国王の妃なんて。私ではなくてティアの方が相応しいと言っているのに、聞く耳をもってくれない。
「私はそうは思わん。お前は優秀な王女だ。いつまでも駄々をこねていると私も行動を取らねばならない。もっと王女としての自覚をもつ事だ」
それって強制的に結婚させられるという事?
初めてそんな風に言われて危機感を覚えた。
「ね、ねぇ父様。もし私が好きな人がいるって言ったら…?」
「ならん。そのような思い早く忘れることだ」
強い口調で言われてしまった。
私の気持ちなんて考えてくれない。
所詮王女なんて父親の駒に過ぎないのだと感じた。
分かっていたけど改めて言われると悲しい気持ちになる。
せめて、結婚させられる前に今の生活を楽しんでおかないと…そう思いながら会場へ向かった。